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VOL.2
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遠征への準備
通勤電車では爪先立ちでバランスを養い、空いているときはつり革に十字懸垂もどきの懸垂で一駅ずつセットで繰り返す。
またホームでも柱の土台コンクリに爪先立ちで電車を待つとか、街の中の移動も早歩き・・・。周りからは白い目で見られていたのを思い出す。
日曜日には、A氏と芦屋のロックガーデンで過ごした。
職場の仲間も半ばあきらめ気味で、以前のように「なんで山ばっかり行くん?しんどいのに・・・」なんて聞かなくなった。
そして・・・職場にニュージーランド遠征のため4か月間の休暇願と退職願を同時に出した。
他のメンバーも休暇願を出したが、周りの人達から「もう1年待て!」とか「退職しろ!」という返事をもらい迷い始める者、 また家庭の事情などで行けなくなる者もいて、結局最後に残ったのは、僕を含め3人になった。

3人は1年後実行を目指し、資金調達や装備集めにとりかかった。
その頃、西宮の鳴尾に住んでいた僕の役割は、渡航のための飛行機や荷物の手配,帰りの船ドッドウェル社オロンセイ号の予約などの渉外をこなし、 資金調達や寄付集めなどの会計を一手に引き受けていた。
全体の資金不足に親父の定期預金を解約してまで×××××後から思えば親父が苦労して働き、お袋は内職して家族12人を抱えながら、 血の滲むような苦労をして貯めたお金だった。
とんでもない親不孝者だ・・・今でも頭が上がりません。

徳島から遠征隊を出すということで、メンバーのS氏が総隊長となり、県内の物資調達係も引き受けてくれた。
現地での登はん隊長とルート工作・会計・渉外・気象通信を僕がすることになった。A氏は、装備・食料の担当になった。
当時、レートは固定相場で1$=360円の時代・・・、 僕らが準備した現地持ち込み一人500$は、3か月間の移動費・宿泊費・交通費・飛行機チャーター料金・食料費などすべてを賄うものだった。

秋刀魚
話は飛ぶが徳島で住んでいた頃・・・・・・・・・
ある初夏の日曜日、めずらしくゆっくりする予定で寝ていたのに、いつものクセで6時に目が覚めた。
外を見ると・・・すごくいい天気だ!!やっぱり急に欲が出て山へ行きたくなり、友人M氏(現スキー連盟理事)に電話。
「おい!今日天気いいぞ!山へ遊びに行けへんか?」
「ええよ。ほな徳島駅9時な!」
近場の山へ行くことになった。

徳バスに乗って五滝で下車、八田ノ五滝経由〜旭ヶ丸を目指した。
急な山行きだったので装備といっても、足元はキャラバンシューズ・・・ ポンチョに折りたたみ傘、家にあった秋刀魚と梅干、パン、ポリタンクに水1リットル、 エタンセルのコンロに灯油を入れたまま小さなザックに放り込んでの行動だった。


11時頃、中津峰の山頂に到着。
薔薇尾峠で秋刀魚を焼いて昼食・・・山で焼いた秋刀魚がこんなにウマいとは!!今でもあの味は忘れられない思い出として残っている。
当時の薔薇尾峠は、本当に蚊帳薔薇が多く雑枝とイバラばかりで、獣道も多く、登山ルートもいたる所にあった。

昼食を終え歩き始めると、イノシシが二匹ルートを塞いでこちらを見ている。
怖くなって地図とコンパスでショートカットし、斜面をはいずりまわりながら登り尾根道を探し歩いた。

2時頃、目的の旭ヶ丸に到着、雲早山から縦走してきた岳友に会った。
雲ひとつなくすごく穏やかな一日であり、振り返るとたどってきた道が嘘のように遠く見えた。

スキーとの出会い
この一緒に秋刀魚を食べた友人M氏に何度となく「スキーをしよう」と誘われ、生まれて初めてすることになった。
徳島で当時一番スキーに力を入れていたYスポーツ社で、 ビス止めのスチールエッジの付いたスキー板、カンダハのビンディング付(紐締め)、革のスキー靴を借りて最終列車で三加茂まで行った。
キスリングザックにスキー靴、シュラフとキャンプ道具、食料を詰め込み、肩にスキーを担いで腕山スキー場のロッジまで三加茂駅から歩いて登った。
当時の人達は、みんなそうして行っていたようだが、ヘッドランプを点灯し・・・もくもくと歩く人達が信じられなかった。

ロッジに着くと、2階でみんな寝ているのにもかかわらず 「早くうどんを作って食べて、早く寝ろ!!」 の声・・・信じられない!

あくる朝、すべて自炊の朝食をすませ、さっそくスキーの講習が始まった。
ビンディングの操作がわからない??
他の人のセッティングを見よう見まねでセットし、ゲレンデ?へ・・・。
ポニーリフトさえ無いゲレンデに恐る恐るスキーを滑らしながら出る。
指導員の友人M氏がやって来て
「これが直滑降!」
「これが斜滑降!」
「これがキックターン!」
「これがええ格好!!」
と一通り動作を見せて、 「ほなガンバッテな。僕は上の方に行って練習するわ。」
・・・・・・一人放り出されてしまった。

まっすぐ滑ることを心がけてもすぐに雑木に当たりそうになり、コケコケしながらもくもくと滑る。
突然、ターンの方法がわかる。木に当たりそうになると、逃げたい方角に顔から体を向けていけば勝手に回る。
それからは楽しくなって昼食も忘れ熱中した。
「もう帰ろうか!」
夕方になって、上からスイスイ滑ってきたM氏は、汗こそかいているが衣服はまったく濡れていない。
僕は転んでばかりだったので、ビショビショに濡れ急に寒くなり、着替えをすませて下山することに・・・・・。

また荷物を担いで駅まで歩くと思うと
「やっぱり僕には、スキーは性に合わん。同じ疲れるなら、いろんな景色が楽しめる山登りの方がいいわ!」
とうそぶいた。

それからは、ニュージーランド遠征後まで一度もすることはなかった。
これが僕とスキーとの出会いだった。

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